ちいさく前ならえ
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門脇佳乃(かどわき よしの)と圦元愛梨(ゆりもと あいり)は幼馴染。家も近く親同士も仲が良く、年は2つ離れているが、しょっちゅう一緒に遊んで部屋にも入り浸っている。
中学の定期テストが終わってしまって、愛梨はいつものように佳乃の部屋に遊びに来たが、高校のテストは二日後に迫ったところだった。佳乃が机にかじりつくのをよそに、愛梨はベッドで漫画を読み始める。
橘里香(たちばな りか)は役者を生業としている。夢に描いたブロードウェイには立てていないが、地元の劇団で細々とながら、演じることで食べていけていた。
そんな里香の努力が実を結び、里香は演目『お吉』の主役に抜擢された。初めての主役に里香は張り切った。張り切りすぎて、舞台から足を踏み外した。
右足首の骨折。幸い手術は必要なかったが、全治二ヶ月と診断された。里香の登壇は絶望的だった。
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![free-g6081235f5_1280.jpg](https://static.wixstatic.com/media/0fe524_db6aedde31be45ab92b0d7f37d1a8c52~mv2.jpg/v1/fill/w_62,h_93,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/free-g6081235f5_1280.jpg)
佐久間修宏(さくま のぶひろ)は26歳。ゲームが趣味の冴えないサラリーマン。楽しみしていたゲームの発売日が迫り、会社に有給休暇を申請して三連休を作る。この三日でゲームにどっぷり浸かる予定だった。
週末を迎え、家に帰った修宏がポストを開けると、宛名も送り主もない謎の封筒があった。
修宏は不審に思いながらも、中を検(あらた)めるが……。
坂下茉奈(さかした まな)は十九歳、昔からケーキ職人への強いあこがれを持ち、高校を卒業後すぐ、地元のケーキ屋「ラフィーユ」で働き始めた。ラフィーユの先輩である井上英(いのうえ はな)にしごかれる毎日を送る茉奈には、妄想癖があった。
十二月も半ばに突入しようというこの日、茉奈はいつも通りカウンターで接客をしながら、訪れるお客様の私生活を想像していた。
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![3106771_s.jpg](https://static.wixstatic.com/media/0fe524_b70e2703e335468d96ee8fb6e4406449~mv2.jpg/v1/fill/w_68,h_45,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/3106771_s.jpg)
弘治三年(1557年)。甲相駿(こうそうすん)三国同盟が締結されて三年、今川領の飯尾(いのお)家では、来る尾張侵攻に向けた準備を進めている。飯尾連龍(つらたつ)の長女、鶴の縁談もその一環であった。しかし鶴は縁談が近づくと必ず床に臥せてしまい、先日の縁談でそれは三度目となった。連龍は一度きつく言って聞かせねばならぬと思い、鶴と夕餉を共にすることを決めた。
頃よく戦を終えて屋敷に戻っていた連龍の長男、辰之助は、父からその話を聞いて、鶴への伝言役を買って出た。昔は鶴とよく遊んでいた辰之助には、鶴の居場所にいくつか心当たりがあった。思い出を掘り起こしながら、辰之助はその心当たりの一つ、弓道場へと足を運ぶ。
君島文香(あやか)は千葉の古い名家、相馬家の末娘として生まれ、幼少から蝶よ花よと育てられた。古い家の仕来(しきた)りを嫌がり嫁に出た先で、夫の康佑(こうすけ)との夫婦生活は手放しとは言えないまでも、十分に幸せであった。
そんな折、実家の母から一本の電話が入る。常に無く重苦しい様子の母の口から出たのは、文香が幼い頃に家を出た腹違いの兄、貴文の名であった。
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